アコースティックギターの音を、鮮やかに覚えている。

しかし、その奏者の姿はバックで薄っすらと、黙々と演奏していた。

ミスがない。他の楽器奏者もまったくミスがない。これが、プロの演奏家なんだと見本を見させてもらっていると思った。

ギターを知らない人は最早少なくなっている。筆者も大好きで触っていた。何度かコンサートにも出演したが、アコースティックではなかった。エレキであった。

エレキギターの時代がしばらく続いた時があり、自分でもあまりアコースティックギターを演奏しなくなっていた。だが、久しぶりに、あのスチール弦の音を聞いたとき、ギターの魅力を再認識した。もちろんエレキギターの歪みや、ロングトーンもギターの特徴を現している。

思い出しているコンサートでそのスチール弦のギターは、ベースやピアノの音質とすっかり溶け込んでいた。

そもそも、いくつもの楽器の共演は、音質というテイストを混合させて美しいものに仕上げている。アーティストの感性そのものが、二度と来ない瞬間に刻まれる。

コンサートも、その瞬間一度しか聞けない、贅沢な時間だ。

ギーター好きにはギターも然り、ベースも、ピアノも、歌も、コンサートにはその時にしか聞けない音があった。